人は「逃げ」だと言うけれど、後悔はない

                                              オーブが焼かれたその日
                                         私は軍服を脱ぎ、銃を捨て、力を放棄した























                                               【 Sleeping Forest 】

                                           いつかまた、立ち上がる日のために




















     「やっぱりここにいたの」


     は浜辺に立ち、一心に星空を見上げるその後姿に声をかけた。
     振り返った、まだ幼さの残る少年の顔に表情はなくて。
     けれど構わず、は笑みを深めて彼の隣まで歩み寄った。

     並んだ肩は、まだの方が高い。


     「さん……」

     「星、今日もキレイねぇ」

     「……はい」


     彼がどのような経緯でこのマルキオ師の島に来たのか、は知らない。
     聞く気もないし、知りたくもないし、興味もなかった。
     ただ、彼が笑ったらそれは可愛いだろうと、そんな小さなことを思うだけだ。

     そう遠くないであろう過去、まだ彼が傷つく前。

     例えば、彼に寄り添う少女とか。
     最低週に一回は必ずこの島を訪れる少年や少女とか。
     他にもたくさん、大切な人達に惜しげもなく向けていただろう笑顔を。
     自分はお目にかかることは出来ないだろうとも思いながら。


     「あなたは本当にこの場所が好きね」


     空から降り注ぐ星はキレイだ。
     例えそれが戦火の名残だとしても。
     こんなにもキレイだ。

     けれど彼は、この降り注ぐ星を見るたびに傷つくのだろうか。
     そして忘れてはならないと、自分を戒めるのだろうか。

     知らない、興味もないと思いながらもそう考えてしまう自分に、は笑った。


     「そういえば私、夕飯が出来たと呼びにきたのよね」


     横を見れば、彼がを見上げていた。
     悪戯っぽい笑みを返し、言う。


     「帰りましょうか」


     それに少年は、静かに頷いた。








 

    
 *管理人コメント*

  相模が尊敬するサイト様、『絶対領域』の神月ツバサ様から頂きました相互記念夢です。
  それもキラ夢っ!!短いのにその中に凝縮されている想いがビンビン伝わってきますっ!(惚)
  『始まりをイメージして…』との事だったんですけど、もう素敵すぎて…何もかもOKです(何)
  …て、事は続きがあるんですかね?(おい)ああスミマセン調子乗りすぎでした;;
  ツバサ様、本当にありがとうございましたっ!!こちらもが、頑張って書きますのでっ!!




.